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STUDIO★(・Σ・)の雑記帳ブログで御座いますよ。
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訳が分からないというひとは01から(略

今回で終わりー!
明日くらいに、キャラの話や後書きっぽいものでも書こうと思います。

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「其れでは弁護人!提示していただきましょう!
 この現場の加工に、依頼主が居るという証拠を!!」

「くらえ!!」

「此は――現場写真、ですか?」
「見ていただきたいのは、テーブルの上だ。裁判長。
 確か、あの刑事が言っていたな。
 テーブルの上のワイングラスと、トランプにも指紋が付着していた、と」
「た、確かにそうですが」
「――其れこそが、何よりの証拠だ。
 一度死体が隠され、現場を加工する為に色嶋が入ったという、な」

 どよどよと、法廷がざわめく。
 まだ、驚くには早いと、言いたくなるな。

「な、なんですと!?此の何がそ、そんな証拠に!!」
「亜内検事。ポーカーをやられたことは?」
「あ、遊び程度でしたら…」
「なら、テーブルの上の役、ご存じだろうか」

 俺の皮肉的な態度が気に入らなかったのか、亜内検事は情けない胸を張った。

「この程度ならば!ロイヤルストレートフラッシュと…ツーペアですな」
「どちらの方が強いか、は?」
「ロイヤルストレートフラッシュに決まって……ああああああああああああ!!」
「…気が付かれたか」
「ど、どういうことですか!?私にはさっぱり…」

 裁判長が慌てた様子で、此方を見てくる。
 まぁ、確かに裁判長なら気が付かなくても可笑しくはない。

「被害者が、被害者が座っていた席が…ま… 負けてる …!」
「な、なんですとォォォォォオオ!!?」

 より一層、裁判所内が騒がしくなる。嗚呼、悪くない、どよめきだ。

「賭けゲームに被害者が勝っちまって、被告人が殴り倒した。
 確か、そう言う筋書きだったな。目撃者もそう証言している」
「で、ですが!此では被害者が負けたことになります!!」
「其れこそが、“依頼主が居た証拠”だ。
 さては、こう、依頼したんじゃなかろうか。
 死体と凶器を暖炉の中に隠した後、
 何時もの連絡手段とやらを使って顔がばれないように、
 ワイングラスとトランプの設置、それからカードの配置の指定…
 ――賭後藤が勝ったようにしてくれ、と」
「し、しかし、その依頼では此は可笑しいですぞ!被害者が負けているのですから!」
「そう。ならば、何が間違っているのか――
 ――間違っているのは 座席 だ。
 確か、目撃者はこういっていたな。被害者は暖炉を背にして座っていたと。
 だが、他の証拠から導いたように――被害者は常に、暖炉に向かって座るようにしていた。
 だからこそ、被告人は 暖炉に向かう席 を勝たせた…!!
 こんな奇妙なズレが生じる原因はただ一つ、
 何時も被害者は暖炉を背に座っていたと犯人が思い込んでいた他にない。
 そして、そんな思い込みをする人間は一人しかいないわけだ。
 ――……さぁ、説明して貰おうか。目撃者――いや、依頼者、荷背田。

 貴様はどうして、 そ ん な 依 頼 を 色 嶋 に し た ん だ ?」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 今日は酷く疲れた気がするな。
 溜息ばかりが出そうになる。

「うぉぉぉぉおおお!すげェ!すげェッスよ我勢堂サン!!」

 早く帰って寝たいところだが…いや、久々に一杯やりたいところか…

「かっけぇ!!最後の、すげェかっけェし!!マジパネェっつーか!!」

 だが、流石に何年も飲んでいないと、飲める量が心配だな。コーヒーに甘んじて…

「………」

 …ん?

「なんつーか」
「なんだ。色嶋」
「はしゃいでるのが恥ずかしくなってきたんスよ」
「貴様の年も年だからな」
「チミが静かだからだよ!!なんッスか!依頼人がまさかの逆転無罪!
 しかもチミが言った通り、あの荷背田が犯人で、あの自供っぷり!!
 ぽかーんと口を開けて汗だらだらの相手側の検事!!
 チミは嬉しくないんスか!」
「全く嬉しくない」
「うわォ。即答」
「貴様が犯人ではなく、彼奴が犯人だった。其れが 真実 だったという話だ。
 無罪?有罪?関係ないな。俺はその 真実 を引きずり出すのが仕事だ」

 そうだ。依頼人など、関係ない。
 深く関わると 痛い目を見る だけだ。

「……なんッスかもー。逆境で笑ってた人だとは思えねェし…
 楽しくなかったんスか、我勢堂サン」
「……楽しく……?」
「なんか後半ノリがちょっとちげェなァって思ってたんスよ、ボクチン」

 ……楽しい?嗚呼、そんな感情は、法廷に持ち込まなくなった。
 だが…今日は……

「…そうだな」
「?」
「今日は――…悪くなかった」
「我勢堂サン。チミの「悪くない」って、結構好きって事ッスか?
 ハードボイルドッスねェ」

 ニヤニヤと笑う色嶋を一発ぶん殴ってやったところで、扉が開いた。
 …彼奴は、確か。

「あ。チミは、検事側に座ってた検事さんじゃないッスか」
「――ええ。そうです。無罪、おめでとう御座います。色嶋様」
「いやいや、そんなゴテイネーに頭下げなくっても。
 有罪にしよーとしてたのはチミの先輩サンッスけどね」
「何の用だ。検事」
「やっだー、我勢堂サンったら顔怖いー。まァ、先刻からずっとそォッスけど」
「ご挨拶に参りました。此から私も、検事側に立つことがあります故――
 ――貴方とお会いする機会も、増えると思いまして。
 赤染刃(アカゾメヤイバ)と、申します」

 ……赤染ねぇ……

「なんつーか、物騒な名前ッスねェ…本名なんスかねェ」

 俺に聞くんじゃない。初対面に決まって……
 ………いや……

「……赤染検事」
「なんでしょう?」
「俺と、会ったことは?――…大分前に」

 見覚えがある気がするぞ。この男――…
 髪や、顔の傷……

「さぁ?申し訳ありませんが、分かりません」
「……いや、気のせいだろう。此方こそ、済まない」

 ……気のせいか。否、どうも、違う気がするんだが。
 此奴が出てきた時から、嫌な予感があった。抉られるような、嫌な予感。
 この貼り付けたような笑みも――…右腕を庇う仕草も
 …何処かで。

「つーか、赤染サンもイイ根性してるッスねェ。チミらの方が負けたってェのにご挨拶たァ」
「…勝ち、負けなど些細なことです」
「ぬ?」
「神の前に何事も隠し通せはしない。「真実」は必ず明らかになる。
 如何ほどの犠牲を払おうとも私達には「真実」をさらけ出すという、神の定めた義務がある。
 勝ちだの負けだのと言うのは、愚かなことです。
 法廷で導かれる「真実」は、神の定めたもの。下された判決は、神の裁き。
 「真実」は神の導きなのですから。私達は神の導きに従って、互いに義務を果たせばよいのです。
 肯定者、否定者として」
「ぬー……なんか、我勢堂さんと似たようなことを言ってますな」
「……そうか?…俺には、全く別のことを言ってるように思うがな」

 寧ろ、逆だ。そう思う。

「其れでは、私は此で失礼致します」

 本当に挨拶だけだったな。彼奴。

「さて、ところで我勢堂サン」
「なんだ?貴様まだ解放されないぞ。少々事務をしていって貰う。俺は帰るが」
「ボクチン、職にあぶれちまってさ」
「人の話を聞いているのか」
「法廷って結構楽しい所じゃねェ?ボクチン知らなかったッスよ、イヤハヤ」
「……おい、まさか」
「チミに依頼料も払わなきゃなんねェッスけど、ボクチンお金ねぇし」
「……………」
「チミんところで助手やるゼ!あ、給料は流石に、時給制で手ェうっちゃりますよ!
 ……って、ちょ!置いてくんじゃねぇよ!
 あ?事務処理!?ちくしょー!明日絶対チミの事務所に行くッスからね!!
 待ってろ!デスク用意して待ってろ!我勢堂弁護士!」

 ……さて、久しぶりの事件は此で終わりだ。
 止まった時計が動き出した。
 止めていた時計が動き出した。
 結果が同じでも、その二つは違う物だ――あの検事と、俺との違いは、其れと似ている。
 俺は未だ無い真実を探り当てて、
 あの検事は既にある真実を暴くとでも言えばいいか。
 其れに、俺はどれ程の犠牲を払おうとも、とは思って居ない。
 どれ程の犠牲を払ってもいいというのなら――俺は、依頼人の話ぐらい聞くさ。
 犠牲を払う覚悟がないから、事件にも、人間にも深入りをしない。
 まぁ、俺は、そのスタンスを変える気はない。

 最も、次の日から本当にきやがった色嶋に関しては、それは通じなかったが。
 お陰で、また厄介な事件に巻き込まれるとは…――思っても居なかった。

 そして、この事件が全ての切っ掛けだったことに俺が気が付くのは…もう暫く、先の話だ。
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